BMキャピタルの組み入れ銘柄3選【運用手法や実績についても解説】


こんにちは、某法律事務所にて日々投資詐欺案件に携わっています、投太郎です。

今回は、何度かこのサイトで取り上げている国内ヘッジファンドBMキャピタルについて、過去の組み入れ銘柄を解説していきます。

前提として、BMキャピタルを含む多くのヘッジファンドでは、現在の組み入れ銘柄については公表していません。

投太郎
投太郎

現在の組み入れ銘柄を公表すると他のファンドに真似される可能性があるため、公開しないのは当然とも言えますね。

しかし、過去に投資して利益確定済みの銘柄については、投資家向けにレポーティングが行われています。

そこで今回は、BMキャピタルのレポートから過去の組み入れ銘柄を3社ピックアップしてご紹介します。

BMキャピタルの過去組み入れ銘柄3社

①北弘電社

②サカイオーベックス

③ダントーホールディングス

それでは、これら3社について1つずつ詳しく見ていきましょう。

BMキャピタルの過去組み入れ銘柄の1つめは、北弘電社です。

1-1 北弘電社

北弘電社は、三菱電機グループに属し、主に屋内配線工事や電力関連工事を行っている企業です。

札幌ドームやさっぽろ創世スクエアといった大規模施設の電力配線工事も手がけています。

以下に概要をまとめました。

会社名株式会社北弘電社
従業員数224名
創業明治43年3月
所在地北海道札幌市
業種建設業/電気工事会社
投資理由(推測)割安株、無借金経営、大手企業との取引による安定した経営基盤
株価上昇主要因20135月の好景気予想
ホームページ株式会社北弘電社公式サイト
株式会社北弘電社概要

北弘電社は北海道電力との取引を持ち、鉄塔工事なども手がけているため、北海道内で確固たる経営基盤を築いている企業です。

売上の2~3割が北海道電力からのものであることからも、同社に支えられている安定した企業と言えます。

にもかかわらず、当時の株式市場では北弘電社は地方の小型株という理由からほとんど評価されておらず、株価は約150円と低迷していました。

しかし、事業価値や保有資産を1株あたりで換算した価値は約800円と見積もられ、かなりの割安状態にありました。

投太郎
投太郎

このように、無借金経営で財務状況も良好な北弘電社に、BMキャピタルのファンドマネージャーが注目したのも納得がいきますね。

そして、その予測通り、2013年5月に好決算予想が発表され、株価は急上昇しました。

以下にイメージ図を記載しておきます。

150円前後だった株価は一気に500円前後まで跳ね上がったので、BMキャピタルは、とても良い判断をしたと言えますね。

1-2 サカイオーベックス

BMキャピタルの過去の組み入れ銘柄の2つ目は、「サカイオーベックス」です。

サカイオーベックスは福井県に本社を構える企業で、染色加工やアパレルのOEM販売を行っています。

福井県は染色産業が盛んな地域で、サカイオーベックスも1891年創業の老舗として地元で知られる有力企業です。

以下に概要をまとめました。

会社名サカイオーベックス株式会社
従業員数960名
創業明治24年
所在地福井県福井市
業種繊維製品
投資理由(推測)割安株、安定した事業収益、豊富な現金・不動産
株価上昇主要因経営陣による買収(MBO)
ホームページサカイオーベックス株式会社公式サイト
サカイオーベックス株式会社概要

サカイオーベックスの株価は北弘電社ほどの割安状態ではなかったものの、安定した事業収益や豊富な現金・不動産の資産があることがBMキャピタルの投資判断につながったと考えられます。

株価が急上昇したのは、経営陣がMBO(経営陣による株式買い戻し)を実施したことがきっかけです。

MBOとは?

MBO(Management Buyout)とは、会社の経営陣が自社の株式を買い戻して、会社を「非公開」にすることです。

 

では、なぜそんなことをするのでしょうか?

 

例えば、あなたが小さなお店を経営していて、もっとお店を大きくしたいと考えているとしましょう。

 

しかし、そのためには長い時間とお金がかかり、「今すぐ儲け」を期待している人には不満を持たれるかもしれません。

 

もしあなたのお店が株式を公開して、いろんな人が株主(オーナーの一部)になっていると、その株主たちが「もっと早く儲かる方法を考えてほしい」とプレッシャーをかけてくることが考えられます。

 

投太郎
投太郎

これでは、じっくりと長期的な投資ができなくなりますよね。

 

そんな時、経営陣が「会社の方針に集中するために、株主から株式を買い戻し、自分たちだけの経営に戻そう」とするのがMBOです。

経営陣はこうした株主の期待に縛られずに、より自由に長期的な視点で事業を進めるため、MBOを決断しました。

具体的には、安定した染色加工業をさらに成長させたり、新規事業の開拓に集中するために、MBOで経営の自由度を高めることが目的だったと考えられます。

サカイオーベックスの場合、TOB(公開株式買付け)という方法でMBOが実施されました。

TOBとは?

TOB(Take Over Bid、株式公開買付け)とは、企業が特定の会社の株を、今の市場価格より高い値段で買い取ることを発表し、株主たちにその株を売ってもらう方法です。

 

例えば、A社という会社があり、株式が1000円で売買されていたとします。

 

A社の経営陣は、将来のために長期投資をしたいけど、今の株主が短期の利益ばかりを求めていて、なかなか自由にできないと感じています。

 

そこで、A社の経営陣はMBOを決断し、株主たちに「私たちが1200円であなたの株を買い取ります」とオファーを出します。

 

これが「TOB(公開買付け)」と呼ばれる手続きで、通常、現在の株価よりも高い価格が提示されるため、株主も「1200円なら売ってもいいかな」と応じやすくなるのです。

MBOが発表される前の株価は2000円前後でしたが、最終的なTOB価格は3810円となりました。

投太郎
投太郎

BMキャピタルもこのTOBに乗じて利益を出したものと思われます。

以下にイメージ図を記載しておきます。

1-3 ダントーホールディングス


ダントーホールディングスは、兵庫県南あわじ市に本社を構えるタイルメーカーで、主に住宅用の内装や外装タイルを製造しています。

日本の住宅で使われるあのタイルを手掛けている会社だとイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

以下に概要をまとめました。

会社名ダントーホールディングス株式会社
従業員数199名
創業1885年8月15日
所在地兵庫県南あわじ市
業種ガラス・土石製品
投資理由(推測)割安株、大株主不在、時価総額を上回る純資産
株価上昇主要因アクティビスト活動
ホームページダントーホールディングス株式会社公式サイト
サカイオーベックス株式会社概要

BMキャピタルがダントーホールディングスに注目した理由は、同社が「割安株」であり、かつ当時は大株主が不在だったため、アクティビスト投資を行いやすい状況だったそうです。

アクティビスト投資とは、株主の立場から企業の経営方針や事業内容の改善を積極的に提案し、企業価値を向上させることを目指す投資手法です。

アクティビスト投資についてはこちらの記事にまとめていますので、気なる方は是非読んでみてください。

【現役法律事務員が徹底検証】BMキャピタルについてわかっていることを全部網羅的に解説してみた

さらに、長年本業の収益は赤字が続いていたものの、現金や純資産の額が時価総額を上回っており、潜在的な価値があると見込まれました。

投太郎
投太郎

要するに、ダントーホールディングスを丸々買収して解散させれば利益が出る状況です。

バリュー投資の真骨頂みたいな状況だったということですね。

バリュー投資については、以下記事でまとめています。

荒れ狂う株式市場を支配するバリュー投資とは?BM CAPITALも採用する「割安銘柄の長期保有」という投資戦略の実態

BMキャピタルはダントーホールディングスの株式を集めて大株主となり、次のような提言を行ったそうです。

経営陣の刷新:業績低迷の一因が経営陣にあると考えられる場合、社長の交代や外部から新しいリーダーを招くなどの改革を提案。

 

休眠不動産の有効活用:活用されていない資産を運用し、収益を確保。

 

資本構成の見直し:資産や負債のバランスを見直し、企業価値の向上を図る。

これらの提案によって経営の改善が進み、その後、BMキャピタルはダントーホールディングスの株式を売却することで大きな利益を上げたそうです。

以下にイメージ図を記載しておきます。

2 BMキャピタルの投資先の選び方

ここまでBMキャピタルの過去組み入れ銘柄を見てきました。

これを通じて、BMキャピタルの投資戦略がある程度見えてくるかと思います。

BMキャピタルは、東証二部やマザーズ、JASDAQに上場している中小型の日本企業を主な投資対象としています。

こうした中小型企業は、特に海外のプロ投資家が参入しづらい市場です。

多くの中小型企業がIR活動に積極的でなかったり、英語版のIR情報を発信していないため、海外機関投資家にとって情報が得にくい状況があるからです。

投太郎
投太郎

簡単にいうと、競合がいないから勝ちやすいってことですね。

さらに、こうした企業は、大手の投資家やアナリストの目が行き届いていないため、過小評価されているケースもあります。

日本には約4000社の上場企業がありますが、そのすべてが細かく分析されているわけではなく、特に小型株に関しては放置されているものも多いのです。

BMキャピタルはこうした「放置株」に注目し、その中でも割安と判断される銘柄を見つけ、イベント・ドリブン投資やアクティビスト投資といった方法を活用しながら収益を上げているそうです。

以下に、BMキャピタルが、割安の小型株を発見し、投資をスタートし、アクティビスト投資を行い、利確するまでの値動きをイメージできるように、グラフを示すので、イメージとして捉えてみてください。

3 まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、BMキャピタルの過去の組み入れ銘柄を通して、その投資手法についてお伝えしてみました。

BMキャピタルは、企業の本質的な価値を見極めた上で堅実な運用を行っている点が、他のヘッジファンドとは少し違うところかなと思います。

個人的には、こういう方針は信頼できるなと感じていますが、投資判断は人それぞれですので、興味があれば資料請求してみてはいかがでしょうか。

【経験者が解説】BMキャピタル購入ガイド!問い合わせから購入までの具体的な流れ!