ヘッジファンドの手数料は2%と高い?!実際の計算式を通して解説します



こんにちは、投太郎です。

今回は、ヘッジファンドでの運用にかかる手数料について紹介させていただきます。実情については、あまり知られていないですが、ヘッジファンドの手数料は非常に高いイメージがありますよね。実際のところ、高い手数料がかかることは確かです。

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しかし、それに見合うだけの魅力があることも事実ではあります。ここでは、ヘッジファンド購入にかかる手数料を詳しく見ていきましょう。

 

ヘッジファンドにかかる大きく分けて、管理手数料、成功報酬、購入手数料、解約手数料の4つになると思います。

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ヘッジファンドを購入する上でかかる4つの手数料

①管理手数料

ヘッジファンドの手数料として、一番大きくかかる手数料のうちの一つは、管理手数料です。

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一般には、1-2%程度で設定されていることが多いです。

 

 

この手数料は、一般の投資信託などに比べるとやや高いようです。なぜ一般の金融商品よりも高めに管理手数料が設定されているのでしょうか。
一つには、ヘッジファンドはその運営上、高度な人材や、高度なITシステムなどを必要とするために、運用を維持するための経費が高いということがあげられます。

 

ヘッジファンドは、プロ中のプロである運用者が携わっています。こうした運用者は、専門的で高度な技術を持っていることが多いのですが、こうした優秀な人材を獲得するためには、より高額な報酬を用意する必要があります。

また、ヘッジファンドではデリバティブ(金融派生商品)などを用いて運用することが多くありますが、こうした複雑で高度な投資手法を支えるためには、高度なIT技術を持ったミドルオフィス・バックオフィスを必要とします。高度な運用を支えるための経費も必要とされるため、ヘッジファンド運用には高めの管理手数料が必要となってきます。

 

②成功報酬

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ヘッジファンドの成功報酬は、一般に20%程度であると言われています。

これは、伝統的なヘッジファンドの報酬体系であり、現在はより柔軟な報酬体系となっていると言われています。しかし、成功報酬という考え方自体は、今もヘッジファンドの大きな特徴の一つと言われています。

 

ただし、成功報酬はファンドの収益、全てにかかる経費ではありません。獲得した収益全てではなく、一般的には、目標とする収益率よりも上回った分についてかけられることが多いようで、この点も、ヘッジファンドごとに複雑に設定されています。ただ、一般には目標とする超過収益よりも高い収益を獲得することができた場合、その収益に対して約20%程度の成功報酬を払うことになっています。

 

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こうした成功報酬は、ヘッジファンド運用者にとっても、高額な報酬を手にするチャンスとなるために魅力的なシステムとなっているのですが、一方で、投資家にとっても必要な経費であると考えられています。

 

これは、ヘッジファンドの運用の中身が、外部からわかりにくいことに原因があります。そもそも、ヘッジファンドはその他の金融商品に比べて、投資内容の報告義務が緩和されていることが多くあります。このことが、運用手法の自由度や多様性を生み、また、模倣される危険性が少なくなることから、長い期間、安定的に超過収益を維持できる可能性が生まれます。

 

しかし、逆を言えば、投資家からするとヘッジファンドを管理することが難しくなるというデメリットも生まれてしまいます。投資家からすると、ヘッジファンド運用者が本当に顧客のために真摯に働いているかが確認しにくいのです。これを、情報の非対称性と言います。この情報の非対称性が、投資家がヘッジファンド投資を控える理由の一つになってしまいます。

 

投太郎

こうした情報の非対称性の問題を緩和する一つの方法として、成功報酬というものが望ましいと考えられています。

成功報酬制度があるために、投資家とヘッジファンド運用者の利益の方向性が一致することになります。つまり、ファンドの収益を多く獲得すれば、投資家もヘッジファンド運用者も双方に利益がある状況になります。このため、情報の非対称性があり、投資家が運用の中身を完全には把握できない状況でも、安心して資金を預けることができる仕組みができるのです。

 

ちなみ、ヘッジファンドには、こうした成功報酬以外にも、情報の非対称性を緩和する仕組みが取り入れられています。その一つが、ヘッジファンド運用者自身の資金の多くを、ヘッジファンドに投資しなければならないというルールです。ヘッジファンド運用者自身の資金の多くを、ヘッジファンドに投資していれば、ヘッジファンド運用者は自身のお金も運用することになる

ために、非常に慎重に運用することが考えられます。このため、外部の投資家としては、運用者が真剣にリスク管理を行い運用する可能性が高いとして、安心して資金を預けることができるのです。

 

ハイウォーターマーク方式

ヘッジファンドには、運用者と投資家の利益の方向性が一致するような工夫が多くあることをお伝えしました。成功報酬の方法にも工夫がなされています。それがハイウォーターマーク方式です。

 

ハイウォーターマークは、成功報酬を算出するときの収益という概念を、過去の基準価格を上回ったときだけに限定するという考え方です。1年などの会計年度だけではなく、長期に渡り、顧客の利益を創出した場合にのみ成功報酬を獲得できる制度とも言えます。

 

投太郎

簡単に説明すると、以下の通りです。

 

 

1年目に10%負けたファンドが、2年目に10%勝ったとしても、2年間を通して考えた時、ファンド自体の収益はマイナスになります。例えば、100円の投資をしていた場合、1年目は90円になって、2年目に99円になるからです。

 

このようなヘッジファンドに、成功報酬20%を導入しようとすると、1年目は収益がマイナス10円なので成功報酬が0となるものの、2年目はプラス9円となり、そのうち20%の1.8円が成功報酬として取られてしまいます。しかし、2年間での収益率はマイナスの結果なのに、成功報酬だけを取られてしまうのは投資家としては満足できないと考えられます。

 

投太郎

こうした問題に対応するために、ハイウォーターマーク方式が導入されています。

 

 

ハイウォーターマーク方式を導入した場合、2年目は99円にしかなっていないため、2年間での利益は上げられていないため、2年目の成功報酬は0となります。仮に3年目に10%さらに収益をあげて、108.8円となったときに、ハイウォーターマークである当初運用資金100円からの超過分である8.8円に対して成功報酬20%を獲得することができます。

 

結果として、顧客である投資家の資産が増えた場合にのみ、成功報酬が獲得することができるようになるために、ヘッジファンド運用者は1年間の収益のみに固執することなく、長期的にファンドの収益を獲得していこうとするインセンティブを持つことになります。こうした仕組みがあるために、投資家は安心してヘッジファンドに資金を預けることができるようになるのです。

 

③購入手数料

一般に、ヘッジファンドは購入手数料をかけないことが多いと言われています。
ただし、ヘッジファンドを購入するに当たって、仲介ブローカーに結果として購入手数料を支払う場合があります。この場合、ヘッジファンドが購入手数料を受け取るわけではないのですが、購入者としては、必要になってしまう費用となります。

 

④解約手数料

一般に、ヘッジファンドは解約手数料をかけないことが多いと言われています。
ただし、早期解約や大口解約、解約禁止期間での解約などでは、多くの手数料を徴収されることが多いです。

 

理由としては、ヘッジファンドは通常、デリバティブ(金融派生商品)など流動性に劣る金融商品に投資していることが多く、このため、ポジションの解消には時間がかかることが通常です。可能な限り、長期での投資を期待したいために、こうした解約手数料がかけられていることが多いようです。


実際の計算式を通して、ヘッジファンド 手数料控除後手元にいくらのリターンが残るのか見てみる

 

投太郎

ヘッジファンドのコスト構造は理解できたのではないでしょうか。それでは、実際に計算をしていくらぐらいのリターンを獲得することができるのか確認してみましょう。

ここでは、1億円の投資をして2%の管理手数料、20%の成功報酬がかかるものとして計算してみます。販売手数料や解約手数料はかからないものとします。また、超過収益のすべてに成功報酬がかかるものと仮定します。

例えば、一般的なヘッジファンドが超過収益の目標とすることが多い10%を例にして考えてみましょう。

 

まず、管理手数料は1億円の2%である年間200万円かかることになります。また、超過収益は1000万円となるために、成功報酬は超過収益の20%となる200万円となります。つまり、手数料の合計は400万円となる計算になります。

 

一方で、投資家が獲得することができる利益はいくらぐらいになるでしょうか。これは、超過収益である1000万円からコスト400万円を差し引いた600万円となります。

 

結果として、1億円を投資して600万円の収益となり、投資家にとっての投資収益率は6%となります。この結果は、他の投資商品と比べて、決して低い数字とは言えないと思います。こうした、比較的高い収益を目標としている点も、ヘッジファンド投資の魅力の一つと言えるかもしれません。


ヘッジファンドの手数料は高いが、それでもヘッジファンド投資がおすすめな理由

 

ヘッジファンドの手数料は、一般的な金融商品に比べて高いことが多いです。それでも、ポートフォリオの一部に分散投資することをお勧めするのは、ヘッジファンドへ投資するメリットが投資コストを上回るだけでなく、その他の投資方法では代替しにくいからです。

 

投太郎

いくらヘッジファンド投資にメリットが大きいとしても、他に安価な代替手段があれば、そちらを優先することをお勧めできるかもしれません。しかし、なかなか代替手段が見つからないのが現状です。

 

 

その1.絶対収益型であること

 

絶対収益型の投資商品というのは、他に例えば国債投資や、不動産投資を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、国債投資は利回りが低すぎるという点で、ヘッジファンドの代替手段とはなりえません。

また、外国の国債投資は、為替リスクを伴うために、変動リスクが高く、安全性が非常に低い投資対象となっています。また、不動産投資についても、家賃収入は確かに安定的で絶対収益型のように思えるかもしれませんが、実際の元本部分にあたる不動産価格は変動するために、市場連動型の金融商品であると言えます。

 

その2.分散効果があること

 

ヘッジファンドは絶対収益型であるために、伝統的な資産である株式や債券の価格が下がった場合でも、収益を得られる可能性があります。こうした伝統的な資産が下がった時でも、上がる可能性がある資産は、全体の資産を守る効果があるために非常に有効な投資商品であると考えられています。

 

しかし、ヘッジファンドのようなこうした望ましい特性を持つ投資商品は、代替手段が少ないと考えられています。例えば、不動産価格の場合、株式市場が下落する場合、同じように価格が下落する傾向が認められます。

 

株や債券といった伝統的な資産との分散効果が得られる投資商品が、他に見つかりにくいために、ある程度高い手数料を払ってもヘッジファンドにポートフォリオの一部を投資することは合理的であると考えられています。

 

その3.プロ中のプロの考え方を垣間見えること

ヘッジファンドの運用者は、厳しい世界で生き抜いたプロ中のプロであると言われています。こうしたヘッジファンドへ投資をすると、運用に関する報告書などを受け取ることになります。この際、多くのヘッジファンドでは、ある程度、自分たちの考え方について情報提供を行います。

こうした情報提供は、基本的に顧客のみにしか提示されることはないために、一般の投資家には伺いしれないヘッジファンド内部の情報の一端をうかがい知る数少ない機会となります。

 


今回のまとめ

今回は、ヘッジファンドの手数料について説明させていただきました。確かに、一般のイメージの通り高い手数料がかかることがわかりました。しかし、こうした高い手数料は、高度な運用を維持するための経費としての役割があります。また、ヘッジファンドの特徴の一つである成功報酬は、ヘッジファンド運用者と投資家の利益の方向性が一致するための工夫という側面もあります。

 

また、ヘッジファンドは、他に代替することが難しい、望ましい特性をいくつか持っています。こうした望ましい特性は、高い手数料を払ってでも投資をする価値があると考えられています。このため、ポートフォリオの一部にヘッジファンドを組み入れることは、依然として有効な手段であると考えられています。

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